特集コラム

Column 7 西荻窪のイベント・芸術

2010/08/18

遊空間がざびぃ【ワークショップ編 二回目(後編)】

Project*Rocca 劇場連続ワークショップ 【アトリエ 2010】

遊空間がざびぃで行われた演劇ワークショップ体験の二回目(後編)の様子。

ワークショップ自体は4月7日から11日までの5日間連続で行われたのだが、私の都合で二日目の8日は参加出来なかったため、三日目の9日が私にとって二回目の参加である。また、10日・11日の両日はワークショップに参加せず、最終日11日の18時からワークショップの参加者で行われた演劇公演を、一観客として見学に行った。

「本当の自分はどんな面があるのか?」「コミュニケーションとは何なのか?」
「舞台の上で生き生きとするとはどういう状態なのか?」を探る、濃密な5日間!

(Project*Roccaワークショップチラシより)

二回目に参加した9日、全員でミラーゲームを行ったあとの休憩をはさんで、私にとって生まれて初めての新しい作業がはじまった。それが、先ほどより疑問の演劇用語『インプロ』である。

『インプロ』とは、インプロビゼーションの略語で、意味は『即興(演劇)』。つまりその場で『演じること』だという。うーん。演劇のワークショップらしい試みだぞ!
では、実際にこのワークショップで『インプロ』をどうやっていくかというと、なおさんが各参加者に『役柄』『状況』だけ指示するので、話は舞台にあがる『出演者』のアドリブで全て作っていくのだそうだ。
…って、ええ!もしかしてこの超ド素人の私もやることになるのだろうか?!
演じたことなんて小学生の学芸会以来なんですけれどっ!

そんな私の勝手な心配をよそに、流石になおさんも初めから私やヨシノさんなど全くの素人には役を割り振らず、なかった。最初に指名されて挑戦することになったのは、どうやら普段から役者をされている方々のようだ。
指名された方々は動揺することなく、むしろワクワクしている様子で自分の役柄と状況についてなおさんからの説明を受けていた。

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まず、参加者から4人の女性が『長女』『次女』『三女』『四女』と四人姉妹を割り振られていた。舞台の設定は、『嫁にでた長女以外の姉妹たちが、休日なのに揃って家でゴロゴロしている』。たったそれだけの条件で、私にとって初めてみる『インプロ』が始まった。

スタートの合図が出てから、出演者の口から出る言葉は全て『アドリブ』…なんて忘れてしまうぐらい演じているはずの全員が役に自然で、しかも面白くてびっくり!
アドリブにより、姉妹たちのそれぞれの状況や性格などが浮かび上がってくるのだ。
それが出演者の性格なのか、役の性格設定なのかは、見ているこちらにはさっぱりわからない。そしてその何が起こるかわからないアドリブからストーリーはどんどん進んでいくのだ。

姉妹たちが好き勝手にゴロゴロしている実家へ『長女が帰ってくる』という状況が追加される。長女役の参加者が、アドリブでケーキを買ってきたというパントマイムつきで舞台に登場。すると4女役がお茶を入れてくるマイムで応じる。他の姉妹たちもそこにはないはずのケーキを真剣に選んだり、取り合ったり。女が四人集まり、アドリブのはずなのに最高にかしましい(笑)
すると舞台そでで、なおさんが参加者の一人の男性に、彼の役と設定を耳打ちしている。はて、この人はどんな役をするのだろう?と思いきやなおさんの指示を飛んだ。

「男性が姉妹の家へ尋ねてきます。その男性は『長女の夫』です!」

果たして彼は何をしに妻の実家へ?状況から出演者が想像するしかない。正解はないのだ。出演者一人一人のアドリブと演技で変わっていく。
大まかな粗筋が出来始めていた。長女は離婚を決意して実家へ帰ってきたが、彼女の旦那はそれを止めにきた。驚いた姉妹たちが理由を聞いたところ、どうやら旦那は、長女に相談もせずに会社をやめてしまったらしい。しかも、彼はなんだか怪しげな商売を始めようとしているのだ。彼の商売とは…?!

そこへまたなおさんの指示で『旦那と一緒に商売しようとしている大学の後輩』やら、『4姉妹の母』やら、『怪しい商売の関係者たち』やら、その後も次々と状況は一変し、登場人物がどんどん増えていく!状況もどんどん変わっていく!

そんななか、なんと私にもとうとう役が与えられ舞台に立つよう指示がでた!
それまで脳天気にケラケラと舞台の参加者の演技や台詞に笑っているだけだっただけに、これには仰天!!しかし、躊躇する間もなく与えられた役は『怪しい商売の関係者の一人』。。先ほどミラーゲームの相手役だったケイコさんも同じ設定をもらい、二人同時になおさんの合図とともに舞台にあがる。

なんというか、とりあえずの感想は『テレビの中に入ってしまった気分』だった。
さっきまで遠くから見ていた登場人物たちと、同じ空間でアドリブによって会話ができるのに感動!これは面白い!
しかし、いかんせん演じるのもインプロも当然初めて。自分の立場と役柄を、気を抜くと忘れてしまう。。どうしても、先ほどまでの観客気分が抜けなくて、舞台全体の粗筋を追いたくて仕方がないのだ!私の役としては困らなくてはいけない場面でも、全体からみると面白くてつい笑ってしまったり。。知らないはずの情報を口にしてしまったり。。

素人ならではの失敗を気がついたら連発。反省する点は多いものの、その場で反省している暇はない。舞台の上で物語は否応なしにクライマックスに突入していた。
なおさんから最後の指示が全体に飛ぶ。

「では、みんなで長女夫婦を和解させてください。そこで終わりましょう!」

そこからは終結に向けて怒涛の流れが感じられた。全員が一丸になって長女夫婦を仲直りさせようと必死になって、無事長女夫婦は仲直りして実家から出て行って大団円。

終わった後の参加者の興奮は凄かった!このインプロに参加した人も、参加せず舞台を外から見ていた人も、それぞれの立場で興奮して感想を言い合ったのだ。
面白かったのは長女役の人の「舞台全体の流れとしては面白いはずの台詞があったんだけれど、自分の役柄としてその台詞が邪魔に感じてしまった。」というもの。私とは逆である。演じる、ということの難しさを垣間見た気がした。

この後は4人ぐらいのグループにわかれ、また別のインプロをやってみたり、台本の読み合わせをしたりして3日目のワークショップの終了時間となった。

これで私のワークショップへの参加は終了。ワークショップ自体は残り二日ある。
翌日10日からは14時からの開催となり、11日18時に行われる公演に向けての練習や作業になるらしい。とりあえず、今日の参加者に挨拶とお礼を言いがざびぃを立ち去った。

< 遊空間がざびぃ【最終公演】へ続く >

遊空間がざびぃ
http://www.gazavie.com/

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【紹介記事】
http://www.nishiogi-navi.com/news/column/column1/column1005.html
【ワークショップ編】
ワークショップ編 一回目
ワークショップ編 二回目(前編)

文・取材 / raku

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