Column 8 西荻の人
安藤久蔵さん100歳講演会 【後編】
100歳になっても自転車で配達
白田さんによれば、安藤さんは昨年末から今年にかけて、一人でケニア・タンザニアに出張され、直接珈琲豆を買い付けているそうです。
珈琲豆を卸されているお店には、西荻から10キロの豆を荷台に積んで自転車で配達に行くのだとか。とても100歳とは思えず驚く私をよそに、安藤さんはごく当たり前のことのようにお話を続ける。
「最初はね、宅配便とかで届けていたのだけれど、ある時、高円寺にある店のご主人が『どうしてもすぐ必要だ!』と言うので、じゃあ、自転車の方が早いじゃないかって自転車で届けにいったんだよ。
そしたらね、ご主人が感動してくれたんだよ。『え?自転車で届けてくださったんですか?』ってね(笑)ああ、こんなに喜んでくれるなら、これはいいな!と思っちゃったんだよね。
御茶ノ水までなら毎度だね。下北沢までは1時間40分、笹塚で1時間50分。祖師谷や立川まで行った時は驚かれたねー(笑)」
すごい距離! どうしてそこまでして…と思っていると安藤さんは笑顔を浮かべます。
「それが続くとね、お店の人ももう私が自転車で来るって分かっているから、冷たいお茶とか用意してくれて待っていてくれるんだよね。
ある時言われたのはね、『うちは他の珈琲屋からも豆を仕入れているのだけれども、他の珈琲屋からの豆は誤って床に落としてしまったら捨ててしまいます。でも、安藤さんの豆はね絶対捨てられないよ。もったいなくて一粒一粒を拾って使いますよ。
だって、こうやって自転車で持ってきてくださるんですからね』って言われたんだね。そのとき思ったんだよ。これだ!って。ありがたい!ってね(笑)
骨を折って、汗を流して自分から行動すればそういう関係が築けるもんなんだ。もちろん、いっぺんじゃ駄目だよ。二度も三度も何度もやってこそだけれどね。」
待っている人がいるから自転車で汗をかいても配達する。待っている人は安藤さんのその誠意を肌で感じたから待っている。珈琲豆を買う人と売る人ではなく、人と人とのつながり。白田さんが安藤さんについて語った言葉が胸にすとんと落ちてくる。
「安藤さんの作られている関係は、全て“face to face”、つまり顔が見える関係。だからこそ、安藤さんの代えは誰にもきかない。誤魔化しもきかない。それが安藤流のフェア・トレード」
講演会の最後に・・・
今回の講演会では、紹介した珈琲店のほかにも安藤さんの戦争体験や山岳部時代の交遊録、幼少期の親兄弟との別れなどさまざまなお話を聞くことができました。安藤さんの「スゴさ」は、100歳という年齢ではありませんでした。その素晴らしさは口では語れません。
「西荻が誇る地域資産、多くの人の結び目になっている安藤さんを、震災からちょうど3ヶ月後の今日、それぞれの場所でそれぞれに思い悩むみなさんにご紹介できたことは僕にとっても、大変うれしいことでした。」
講演会の最後に白田さんがおっしゃった言葉が心に残りました。この記事を通して安藤さんをご紹介することができ、とてもうれしく思います。
百聞は一見にしかず!です。皆さんもぜひ安藤さんのお店「アロマフレッシュ」を訪ねてみて下さい。
自由学校特別講座「100歳のフェアトレーダーに生き方・働き方を学ぶ」
主催:NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC) PARC自由学校
http://www.parc-jp.org/
企画・講師:モノのデザイン。コトのデザイン。つながりのデザイン。
白田博彦さんへのお問い合わせは:maxhakuter*onyx.ocn.ne.jpまで。
(送信時は*をアットマークにしてください)
会場:西荻まちレストラン かがやき亭
http://www.h6.dion.ne.jp/~momo3/rest.html■珈琲豆卸売専門店『アロマフレッシュ』
住所:東京都杉並区善福寺1-3
電話:03-3395-1854
営業時間:12:00-7:00(配達のために時々閉まっていることがあります)
営業日:日・水・金曜日