Column 2 西荻の詩
2009/12/25
休みの日
ねえ、休日は快速が止まらないから、
気をつけて電車に乗ってね。
この言葉を、この1年の間に
どれくらいの人たちが口にしたことだろう。
西荻の我が家へ誰かを招待するときには、
なるべく伝えておきたい言葉だ。
そうしないと西荻で電車がとまらずに通り過ぎ、
休日の貴重な時間を無駄にすることになる。
休日、西荻窪駅には快速が止まらない。
これを不便だと言う人もいる。
しかし、休日に快速が止まらないという事実は、
西荻窪という街によく似合っている。
電車に乗っただけで休日だなあ、という気分になれる。
ついついのんびりしてしまう。
そして、この「のんびり感」は西荻に住む人たちが
多かれ少なかれ持っているものだという気がする。
それは冒頭の言葉を伝えてもらえなかったために、
西荻を素通りしてしまった訪問者たちの数が、
物語っている。
年間およそ724人(推定)。
知らずに、通り過ぎてしまった経験のあるひと。
西荻のひとを責めないで欲しい。
意地悪ではないのです。
あなたの時間を軽んじているわけでもないのです。
みんな、ただただ、のんびりしているだけなのです。
あたたかい日差しが当たる、休日の普通電車のように。
(了)